今日はドル円のチャート位置について考察し現状のマーケット参加者がどう考えているか、今後の値動きについて書いていきたいと思う。
1月〜3月相場
上はドル円の日足のチャートである。2021年1月から上昇を開始し、いったん3月四半期末に111円手前まで上昇しレンジ推移へ移行した。3月までの上昇ドライバーとしては、①コロナワクチンによる世界景気回復期待からのリフレトレードが活発となり米国債利回り上昇の影響、②株価の上昇、③ドル円ショートの買い戻しといったところがかなりのドライバーとなったと考えられる。特に、米国債利回り上昇からによるコンベキヘッジにより債券価格の下落し、それに伴うヘッジ付債券の売却に伴うドル円の買い戻しというところはそこそこインパクトがあったのではないか。
10月以降からの上昇について
その後ドル円については4月以降レンジ相場へ以降。世界景気回復相場、リフレトレードに一服感が出てきたことによりドル円の値動きはかなり落ち着き膠着感が続いていたが、10月に入り再度上昇を開始した。
10月以降の相場についてのドライバーとして考えられるところとして①テーパリングや利上げ折り込みが進んできた他国中銀同行、②原油価格上昇による貿易収支の悪化、③アセマネや投機筋の円売り拡大や個人の円買いポジションの巻き戻しがあげられると考えられる。
①については、単純に動かないBOJ(日銀)とテーパリングの開始が迫っているFRBとの政策の乖離というのが一番わかりやすい。特にFRBだけでなく、BOE(イングランド銀行)やRBNZ、BOCといった中銀がテーパリングや利上げを行ったり、タカ派コメントが出ていることもクロス円での円売りというのがドライバーになっている。特に夏場は株価が不安定なこともあったりコロナ第5波とうもありリフレトレードが一服したことによるクロス円ショートもたまりやすい環境であったと考えられる。
②原油価格上昇についても大きな影響を与えている。9月の貿易収支は6228億円の赤字と2か月連続の赤字。輸入が38.6%増と原油高の影響をもろに受けている。一方で輸出は13.0%と増加しているが自動車輸出が減少しており半導体不足の影響が原因となっている。こうしてみるとこれまで輸出企業が円買いを行いある程度ドル円の上値を抑えていたところがなくなってきており今回上昇した動きにある意味貢献している。
③ポジションについてはIMMの投機筋のポジション等をみても円売りは相応に積まれており今後の動きには一服感が出てくる可能性もあるが、一方で個人の証拠金のUSDJPYのショートポジションはそれなりにたまっており今回110円のミドルを抜けてから走った動きにはそれなりに影響を与えたと考える。それまでの3か月間を見てみると109~110の狭いレンジで推移しており逆張り的な手法がワークしていたことからも抜けたあとも逆ばりの動きは続いていたと考える。特にクロス円の伸びを見てもこちらもまったく押し目がなく上がっているところをみてもポジショニングとしては偏っていたと考えられる。また、これまで過去5年間ドル円は前年高値を超えられていない動きが続いていたこともありマーケット参加者の円高マインドがなかなか抜けることができなかったのではないか。
上記の理由からドル円はドル円は勢いよく上昇しているわけだが現状のチャート位置について考えていきたい。
再度チャートを見てみると現状一目均衡表の転換線を割れて推移しておりいったん調整色のがでてくる相場となっておりややベアに傾いていると考えられる。114円台までのスピードが速かったことやさすがに節目の115円手前では売っておきたい人はいたんではないかと考えられる。一方で原油価格は上昇し続けておりそういった輸入は電力発電のために買わなくてはならないので買いが続いていると推測される。ここからの展開として参考となるのは今年の2021年1月~3月相場であり3月にもいったん転換線を割れややベアに傾いた時間帯があった。この時は6日連続安値を切り下げておりベアになったがなかなか走らない状況だった。現状の動きを見てみると二日連続で安値を切り下がっているがその後はすぐに反転している。こう見ると転換線を割れてはいるもののそこまでベア感はなくまだ買いたい人が多くいるように見える。
現状転換線は114円手前にありいったんそこでは売りがでてくると考えられるが、そこであまり売られずクローズベースで上回れば再度115円トライといったところは視野に入る状況と考える。特に11月初旬まではマーケットではドル買いの季節性もあり今度は円売りよりはドル買いで上値を試す展開が来るのではないかと考えている。
一方で114円ちょうどが重い展開が続くようだといったん息切れ感から買いが緩む可能性もあり調整は長くなる可能性もある。3月と違い今回はすぐに反発しており買い意欲が強いもののロングがたまってきてしまったことも考えられ調整が深くなることには注意したい。とにかく現状だと114円がいったんカギとなる水準になったと思われ抜ける時間帯や日柄を注視していきたい。
仮に調整があるとすると113円割れからの基準線が日柄で上がってくるので112円70付近がいったん調整するのであればめどの水準になるのではないか。その時は現状上がっている原油相場に調整が出始める可能性もあり原油や天然ガスの動向にには注意したい。
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